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Recording Report

最悪 収録レポート


3月上旬、「最悪」の収録が行われました。本作品はDisc2枚組ということで、2日間に分かれての収録となりました。
収録レポートでは、1日目、2日目それぞれの様子をお届けいたします。

■ 収録1日目
早朝からの収録となった1日目。
次々にスタジオに集まって来られるキャストの皆さんは、談笑しながら収録開始を待たれます。
全員が揃ったところで、キャストの皆さんの紹介が行なわれ、原作者のひちわ先生のご挨拶の後、いよいよ収録がスタートします。

まずはテスト収録。数シーンを演じていきながら、キャラクターの設定が行なわれます。
ドラマCD版「最悪」では、ひちわ先生の描かれた魅力的なキャラクターをどこまで表現できるかを念頭に進められていきました。

神経質で怒りっぽいエリートサラリーマンの英彦、自分勝手で傲慢ですがカリスマ性のある有堂はもちろん、英彦の部下の太田など、
個性豊かなキャラクター達が織り成す本作。音だけでキャラクターの表情や動きを聴く側に伝えられるように、
キャストの皆さんには声のトーンを変えたり、感情の起伏の幅を変化をさせるなど、数パターンを演じていただきながら、基本ラインを調整していきます。

英彦を演じられる神谷さん。クールなエリート然とした知的な雰囲気は、まさに英彦そのもの!
低めの男っぽい声のラインがとてもかっこいいです。
基本はテストで演じて頂いた方向で、でも仕事場での英彦はもっとツンツンしていて無機質な感じに、部下の太田に対してや職場でのシーンは
とにかくフレンドリーさを排除して、感情を抑えて頂くことになりました。
その分、有堂に対して怒りを表したり嫌味を言ったりするシーンでは、感情を爆発させて畳み掛けるようにメリハリをつけて頂くことになりました。

有堂役の森川さん。テストの第一声から豪放磊落なカリスマのオーラがむんむん漂う有堂を力強く演じて下さいました。
普段のスマートでスタイリッシュな印象の森川さんからは想像もつかないほど、がさつで豪気なその演技はさすがの一言! 
更に付け加えてもう少し柔らかさもという要望に、
森川さん「あ、分かりましたー」
とご自分のキャラクターを確認されつつ、瞬時に対応して下さいました。

そして英彦の部下・太田を演じられる阿部さん。明るい天真爛漫な感じがとてもかわいらしく、テストのまま進んで頂くことになりました。
キャラクターの個性が大事な作品だけに、テストではメインのお二人を中心に綿密なディスカッションが行われました。
その他の各キャラクターの的確なイメージや要望などもキャストの皆さんに伝えられ、キャラクター設定が終了しました。


物語は、英彦と有堂の学生時代の回想から始まります。ずぼらな有堂に怒り心頭な英彦とだらしない有堂。
二人の何度も繰り返されてきたであろう日常生活のやりとりは何とも想像に難くなくとてもコミカルで、
物語の中にぐっと引き込まれていきます。

英彦を演じられる神谷さんは、ナレーション・モノローグだけでなく、通常の台詞も多いため、ほぼ全ページ喋りっぱなしでした。
1ページ丸々英彦のみというページすらあり、その膨大な台詞量に苦しまれる神谷さん。
そして台詞量だけでなく、全編を通して英彦は怒りの表現が多いため、怒りに震える、怒鳴る、罵る…という風にテンションを常に高く保たねばなりません。
恐ろしいまでの集中力で次々と長台詞を畳み掛けられる神谷さん。その台詞回しはさすがの一言!
膨大な台詞量に対し、大きなリテイクもなく、次々と紡ぎだされていく台詞のやりとりにスタッフブースは「おおー…」と感心しきりでした。

有堂を演じられる森川さん。英彦を振り回す俺様っぷりが光っています。
今回は、ただのがさつで勝手な嫌な男ではなく、そんな部分がありながらも人を(英彦を)惹きつけてやまないカリスマ性の表現が
難しい部分でしたが、まさにそんなキャラクターを体現して下さいました。
コミカルなアドリブを入れつつ、自由気ままに振る舞う王様のような森川さん。
台詞の端々から有堂の有無を言わせず周囲を惹きつけるオーラが伝わってきます! その存在感には本当に驚かされます。

喋りっぱなしの神谷さんのテンションを盛りたてるように、時折冗談を言ったりしてスタジオ内の雰囲気を和らげて下さる森川さん。
神谷さん「勝手にひとりで行って増水したドブにはまってくたばれ!」
森川さん「(OKの後)そうだそうだー(笑)」
と合いの手を入れたりと、神谷さんをリードしつつさりげない気遣いを忘れない森川さんでした。

収録は順調に進み、ディスク1枚目の後半部分に入っていきます。
台風の中でのシーン。森川さんと神谷さんの嵐の中のやりとりが臨場感に溢れていて、まるで映画のような大迫力!
英彦の仕事に対する真摯な態度、有堂の男らしさ、かっこよさが全開です!
ディスク1『最悪』では、流れるような英彦の罵倒とそれを物ともしない有堂の丁々発止のやりとりはもちろんですが、
英彦の仕事風景や男としてのプライド、嫌だ嫌だと言いつつも本当は有堂を愛している…という気持ちや、
有堂が英彦にだけ垣間見せる弱さやかわいらしさや嫉妬も必聴です!
シーンごとの神谷さんと森川さんの声質の変化や、雰囲気の違いに注目してください。

そして英彦と有堂が肌を重ねるシーンでは、英彦がそれまで有堂が隠していた真実を知るのですが…?
その事実に思わず微笑ましくなりつつも、そこから繰り広げられる有堂の男の色気滴る言葉攻めの数々と
英彦の艶っぽさには思わずドキドキさせられます! 破壊力抜群です。
キャストの皆さんのテンポのよいやりとりに、笑ったり聴き惚れたりしているうちに1日目の収録は無事終了となりました。


■収録2日目
2日目は、神谷さん・森川さんのお二人での収録からスタート。
簡単なキャラクターの確認が行われ、その後、テスト収録が行われました。
キャラクターをしっかりと掴んでいらっしゃるお二人に、すぐに本番に入ります。

本番がスタートすると、森川さんと神谷さんがまさに有堂と英彦そのものに。
傍若無人に英彦を振り回す有堂と、そんな有堂に罵倒を浴びせつつ、負けじと反撃をする英彦のやりとりが秀逸です。

1日目に引き続き、神谷さんには、神経質でクールな英彦を熱演して頂きました。
エリート然としたツンとした姿や、うって変わって仕事で歯を食いしばる様子、気持ちが高ぶった時の激しい激昂など、
感情の動きを丁寧に演じて下さる神谷さん。物語が進んでいくにつれ、心情の変化が声のトーンなどから感じることができます。
とりわけ、モノローグで表現される、プライドや愛情の入り混じった有堂に対する複雑な想いが素敵です。
神谷さんの台詞にのせて、英彦の心情が心に響きます。

森川さんは、傲慢でデリカシーのない有堂を、カリスマ性たっぷりに演じて下さいました。
飄々とした様子で英彦の罵倒も意に介さず余裕をみせる有堂。自分は思うがままに英彦を振り回しておきながら、
他人には英彦を振り回したり傷つけたりすることは許さない。
終始ストレートに表現される英彦への愛情に、聴いているこちらが思わずほだされそうになってしまいます。
そんな有堂に怒っていた英彦も思わず流されてしまう…そこでここぞとばかりに発揮される、有堂の男の色気が滴るような甘い囁き。
森川さんの艶めいた、セクシーな囁き声は必聴です。

お二人の息はぴったりで、順調に収録は進んでいきます。
収録中盤、柳井係長役の松本さん・堤課長役の千葉さん等、他のキャストさん方が収録に参加され、テスト収録が行なわれます。
松本さんには、人の良さを前面に押し出して演じて頂くことになりました。
英彦とのやりとりでは、クールな英彦に対し、どこかゆるい雰囲気の柳井係長がとっても味があって素敵です。コミカルなアドリブも必聴です!
そして千葉さんは、切れ者の堤課長の役を嫌味たっぷりに演じて頂いています。
英彦に絡んで嫌味を言う堤課長と英彦のやりとりは、まさに仕事のできる男のぶつかり合いといった感じでリアリティーがあります。
堤課長の登場シーンは多くは無いものの、強烈なインパクトを放っています。
お二人ともさすがの演技で、あっという間に登場シーンの収録は終了しました。

なんだかんだで元の鞘に納まった英彦と有堂。そんな中、有堂に大きなピンチが訪れます。
それを知らされずショックを受ける英彦と、英彦だけには弱みを見せたくない有堂。
悔しさや切なさに揺れ動く英彦と、傲慢で自信に満ち溢れている普段の様子からは全く想像がつかない有堂の一面。
素直じゃない二人のすれ違いが切ないです。

有堂のピンチに英彦はどうするのか? 有堂はどうなるのか? 二人の恋愛はどうなっていくのか?
ラスト、大どんでん返しの展開をぜひお楽しみ下さい!

本編終了後、購入特典のフリートークでは、森川さん・神谷さんのお二人で、楽しいお話を繰り広げて下さっています。
収録中の様子や、キャラクターについてなど、ここでしか聴くことが出来ないお話が詰まっています。
まさにリアル有堂というような森川さんの驚きのエピソードや、どちらかというと神経質という神谷さんの日常の様子など、楽しいお話がもりだくさんです。

ひちわ先生の書かれた個性溢れるキャラクターを音で表現できるように、拘りに拘った収録は、無事終了となりました。
長時間の収録でお疲れにも関わらず、「お疲れ様でしたー」となごやかにスタジオを後にされたキャストの皆さん方。本当にお疲れ様でした!
4月28日発売、「最悪」。皆さんぜひお楽しみ下さい!!


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